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「……なれなかった」
ソメイヨシノは風で乱れた髪を耳にかけながら、「そう」とだけ言った。
「やっぱり僕は、君以外好きになれない」
ソメイヨシノは僕の方を見て、哀しげに微笑んでいた。
「最後に一つだけ、お願いをしていいかしら」
最後だなんて言わないでほしい。僕は涙が溢れ、声を出すことができなかった。
「私を忘れて優一。そして、終りが来るその日まで、自分の人生を生きてほしい」
僕は頷くのが精一杯だった。後から後から涙がこぼれた。
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