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翌年の春、祈るような気持ちで染井吉野の元を訪れると、可憐な花と一緒に、彼女はそこに立っていた。
僕は彼女と再開が本当に嬉しかった。もう二度と会えないかもしれないと思っていたからだ。
彼女は今年も、去年と変わらない微笑みを僕に向けてくれた。彼女が微笑む度、ふわりふわりと桜の香りが僕の鼻をくすぐった。
僕は彼女に伝えなければならないことがある。春が来るのをずっと待っていた。今、伝えなければ、また来年まで彼女に会うことができない。
僕は想いを打ち明けた。
「ソメイヨシノ、僕は君に恋をした。去年、君を初めて見た時から、僕は君のことが好きだ」
それを聞いて、彼女は喜んでくれた。彼女の頬にわずかに差した薄紅色を見て、僕の胸は張り裂けんばかりだった。
「好意を伝えてくれたのはとても嬉しい」
しかし、彼女は付け加えるようにこう言ったのだった。
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