第1章

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「あの、ここは行き止まりですか」と、オレは老紳士にたずねる。 「いいえ」と、老紳士ははっきりと答える。 「あなた方をお待ち申し上げておりました」 老紳士は、もう一度、オレたちに向けて丁寧なお辞儀をする。そして、老紳士の右手が上がると、ガシャンと金属がぶつかり合う音が辺りに響き、施錠されていた門扉がゆっくりと開き始めた。その先には多くのプーカ族とファイガ族が入り交じり、幸せそうにダンスやら、パーティーやら、楽しんでいる光景があった。皆は、オレとアンデに気付くと、一斉に笑顔をふりまいてきた。 「強き者の帰還を、皆が喜んでいます」と、老紳士は言う。 そして、老紳士から次に出てきた言葉で、オレとアンデは、この上ない安心感と達成感を得ることができた。 やはり、ここが、オレたちの目的地だったのだ。 「おかえりなさいませ。そして、ようこそ『ヘルメット・アンダーワールド』へ」 (おわり)
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