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「そこだ、撃てっ」
バーチャルリアリティの空間内で思わず叫ぶ。
これが現実なら誰もが顔を背け眉を潜めるだろうが構わない。
相手は虚構。リアルに作り出されながら、その呼吸音、肌に触れる硬質な外骨格の感触、キチキチ鳴く顎の音さえもが偽りでしかない命。
銃撃に引き裂かれる腹部、ぶちまけらる内臓にバラける脚。
こいつ最大の弱点は柔らかな腹部だ。巨大な鎌は弾を弾くからダメージを与えられないが、逆三角形の頭部や各関節部も的は小さいが弱点になる。
だが今日は、最初から調子が悪いと言っていた健のミスが響いて普段より手間取っていた。
「ヤベ、キラー・ビーだぜ」
キラー・ビー? この辺りは生息していない筈。
「解毒剤飲め。刺されても三回まではノーダメージだ」
「健、ミスが多いよ」
「だから、今日はチョーシ悪いの」
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