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申也「これはその幽霊を霊視して視えたものなんですけど。何か思い当たる言葉や単語はありませんか?何かを守りたい…みたいに見えるんですけど」
まるで自分が見たかのように申也は隣に座ってさっき清書した紙を青井に渡した。
青井「そんな話は聞いたことないですけど…」
申也「じゃあこの日付は?」
青井「4月20日…?あ…」
何か思い当たることがあったらしく、青井は口に手を当て突然顔色を曇らせる。
清羅「何か?」
青井「…‥…」
しばしの沈黙の後、言葉を選ぶように青井は話を始めた。
青井「あの子…好きな人が野球部にいて…。真辺君って言うんですけど…。4/20の試合の為にお守りを用意していた“みたい”なんです。県外の勝負の神様で有名な神社まで買いに行った“らしく”て。事故の直前に“何か”なくしたって探していたからもしかしたら…」
申也「そのお守りを渡したい未練がバグを発生させたのか…」
青井は「え?」と聞き返すと、「あ、いや、こっちのこと」と申也はごまかした。
胡桃「じゃあ事故現場近くにお守りを落して、それを探している途中で事故に巻き込まれた…とかですかね?」
清羅「そうだな。運転手のそこにいたのに気付かなかったって話は、彼女が運転席から見えずらい位置でかがんでいたのかもな」
青井「そ…そんな…」
顔がみるみる青くなった。それだけではない。口元を抑える手も震えている。
そして、清羅は見逃さなかった。
彼女に呼応するように、鞄を覆っている“文字”が増えたことを。
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