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申也たちが店から出て数分後、俺達もまた事故現場に向かった。
俺「なんか…あの子の話って…違和感がないか?」
太「そうかぁ?別に普通じゃね?」
京司「嘘を言ってるってこと?」
俺「嘘…そこまでじゃないけど……」
太「俺は何も感じなかったけどなぁ~」
俺「…‥そうか…」
もしかして考え過ぎだろうか。でも、彼女の鞄に“バグ”があったのが気になる。
“バグ”って幽霊のことだと思ってたけど。彼女が難波って子の幽霊に憑りつかれてるって事か?
でもなんで彼女自身じゃなくて鞄に?
そういえば……申也が言ってたな。
『バグを発生させたままにすると新たな別のバグが発生するんだってさ。所謂ポルターガイストとかの霊障ってやつ』
バグは新たなバグを引き起こす。負の連鎖。
鞄の“バグ”は幽霊と言うよりもそこから派生した新たな“バグ”って事なのか?
事故現場に着くと、胡桃と先輩、申也は既に道路脇に散らばってお守りを探していたが、青井は献花が置かれた場所に心もとなさげに立っていた。
申也「よぉ。突然悪かったな」
え?っと思っていたら、そう言えば俺達は呼び出された設定だったのを思い出した。
太「いいってことよ!んで、お守りを探せばいいんだってな」
京司「どんなお守りなんだ?」
申也「中身は分からないけど、神社の名前の書いた白い紙袋に入っていたらしい」
俺「…‥…‥」
あれ?最初に見た時より青井の鞄の文字が増えてる…。
しかも事故現場の文字よりも記号みたいなぐちゃぐちゃした感じでとても書き写せるようなものじゃない。
青井の背後にはさっき見た“バグ”がうようよと漂っていたが、まるで青井を覆うように文字が動いた。
ズルズル。ずるずる――と。
俺「――っ!」
まるで意識があるみたいに。
“バグ”は青井と鞄を取り囲み、同化していき、どっちが最初の“バグ”か分からなくなる。
文字…単語…言葉…。
それは彼女の死の直前までやりたかったこと。未練という残留思念。
真辺君、野球、お守り、4/20、試合、渡す…!?
頭の中で単語が浮かび、“文字”は“意味”を持った。
まさか…。あの“バグ”は……。
死んだ女子高生の未練って…‥。
俺は思わず先輩を見ると、それに気づいた先輩も肩をくすめて苦笑いした。
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