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申也「じゃあ俺達はこっちを探すから鬼ノ城君と太はあっちを…」
太「あれ?鬼ちゃん?」
俺は二人を無視して先輩のところに行く。
二人は首を傾げながらも、「じゃあ太と京司はあっちの方を…」と役割分担をしていた。
俺「先輩…もしかしてあの“バグ”って…」
先輩「君も気付いたか。彼女の鞄にも“バグ”が発生してただろ?アレを見てピンと来た」
俺「…じゃあ、何でこんな無意味なこと…」
俺は皆を見ると、彼らは散らばって捜索を開始している。それを青井は不安そうに、いや、申し訳なさそうに見ていた。
俺「探したって…ここには“落ちていない”のに…」
先輩「それを明らかにするのは我々じゃない」
俺「……?どういう意味…なんだ?」
先輩「彼女が“バグ”に憑りつかれない為には、彼女自身が“告白”して死者の未練を晴らさないといけない。でないと彼女の心にもずっと罪の意識が残り、“バグ”は完全には消滅しない」
俺「…つまり…わざと探すフリを?」
そして…青井から言い出すのを待ってるってことか?
先輩「少なくとも私はフリだが、彼らは違うよ。彼らの真剣な姿を見て、彼女も改心してくれれば…と思ってな」
悪戯っぽく笑う先輩を俺は驚いて見た。
俺「でも…もし本当に…事故の原因が探し物で…。死んだ子の本当の“未練”を知ったら…」
青井は…きっとショックを受ける。知らなければ良かった…と。
先輩「そうだな。真実を知れば、もっと傷つくかもしれない」
俺「なら…彼女に全ては話さな――」
先輩「話すよ。全てを。それを含めて“モジバケ”の未練だから」
俺の言葉を遮って言った先輩の顔から表情が消えた。
先輩「さっきも言ったが、“モジバケ”は本来存在してはいけないものだ。それを消すためには手段は選ばない。例え…その過程で誰かが傷つくことになっても…な」
俺「それは…他のバグが起きるから…か?」
先輩「そうだ」
たったその程度のことでそこまで先輩が必死になる必要なんてあるのか?
先輩「その程度のことで、って顔だな」
まさに言い当てられてギクリとした。
先輩「“モジバケ”が引き起こす現象がまさかポルターガイスト程度だとでも?」
え?違うのか?
俺「さっき…申也はそう言って…」
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