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俺は大きく深呼吸をしてから、彼女に事実を告知した。
俺「あんた…勘違いしてんだろ?」
青井「どういう…意味…ですか?」
俺「死んだ子の未練が…好きな男にお守り渡したいって…」
そう、全てはその勘違いから始まったのだ。
青井「え?意味が分からないんですけど…」
俺「…違うんだよ。渡したかった相手が」
青井「美優が真辺君以外の人にあげたかったってことですか?」
俺「…いやそうじゃなくて…」
相変わらずのコミュ症で口下手なせいで、彼女になかなか真意が伝わらなくて歯がゆい。
俺「お前名前は?」
青井「え?な、名前?」
俺「…下の名前。左和子…だろ?」
青井「――っ!?な、何で!?」
俺「…申也…さっきのノート…とペン」
申也「あ、あぁ…」
渡された紙に文字を書いて、申也が清書した文字から使った文字を斜線で消した。
『4/20 野球の試合で 真辺君に お守りを 渡す』
そうして申也が書いた文字で残ったのは、『左和子が』だった。
青井「―――っ!」
それを青井は見て絶句した。いや、絶望に近い表情を浮かべていた。
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