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申也「それにしてもよく鬼ノ城君気づいたよな。彼女の言葉がウソだったって」
俺「彼女の話…違和感があって…」
太「そういや鬼っち店出てから言ってたな」
“みたい”だとか“らしい”とか確証がないわりにはやけに確信を持って話をしていた。
俺「直接本人から聞いたんじゃなくて…自分の勝手な憶測で話してる感じで…」
阿曾「そうね…“何か”探してたって言ってたけど、それがお守りだとは言ってなかったわね」
申也「なるほど…お守りを持っていたのは勝手に見て知っただけで本人から直接聞いた訳じゃない。そして探し物を教えてもらえなかったってことは、青井には内緒にされていたってことか」
俺「あと…彼女の鞄に“バグ”がいて…」
申也「え?そうなのか?」
俺「あ、あぁ…」
気づいて話そうとしたら店に先輩達が入ってきて会話を中断されたから彼らにも話さなかったけど。まずかったか?
京司「じゃあお守りを青井が持ってて、初めから探す必要がなかったのに気付いてたのか?」
俺「あ、いや…」
しまった…。そういう風に取られるとは思わなかった。
先輩「それには私も気付いていたが、彼女から話を切り出させるには君達が本気で探す必要があったから黙っていた。すまなかったな」
阿曾「どうしてですか?」
先輩「君達が死んだ親友の為に必死になる姿を見て、彼女も親友の為に自分の罪と向き合い、自ら動こうとしてくれるのを期待したんだ。他人に暴かれて逆上し渡す気を失くされたら意味がないからな」
先輩は肩をすくめて「結果は駄目だったがな」と笑った。
先輩「今回は鬼ノ城君が憎まれ役を買って出てくれて無事に解決したってことさ」
俺「…え?お、俺?」
申也「彼女がお守りを盗んだことを皆にバラすのは、一番嫌な役だろ」
もしかして…申也は俺達がお守りを探していないのに気付いていたのか。
俺がじっと申也を見ると、それに気づいた彼が笑った。
申也「着いてすぐ君と先輩が話してたから何かあるなとは思ってた。あの子と同じく鬼ノ城君も全然探そうともしなかったし。でも太が溝に入って冷たがってるのを見て、黙ってるのが悪いと思いあの子に詰め寄ったんだろ?」
俺「それは……」
太「なぁーんだ。やっぱり鬼ちゃんイイ奴ジャン!」
隣に座る彼にバシバシと肩を叩かれた。
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