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阿曾「あんたが急に話しかけるなんておかしいと思ったけど。そういう事だったの」
京司「…ゴメン…変に勘違いして」
俺「いや…別に…」
申也「まぁ普通はなかなか言えないよな。勝手な勘違いで盗んだ挙句にそれは本当は自分の為に準備してくれてた物だった、なんて。自分のせいで死んだかもしれないって不安を抱いている相手にダブルパンチくらわすようなこと」
―――グサグサ。
俺「うぅ…っ!や、やっぱり…それは言わない方が良かったか…」
阿曾「言って当然デショ。言わなきゃあの女自分の保身の為にお守り捨ててたわよ。最初に裏切ったのは親友なんだから…とか理由つけて」
先輩「君が言わなければ私が言っていたから気にするな」
二人にかばってもらえてジーンと感動してしまう。でもふと思った。
もし…彼女がお守りを捨ててしまって未練が果たせなくなったら、“バグ”はどうなるんだろう?
他に“バグ”を消す方法があるんだろうか?
先輩「もう遅いし帰ろうか。次は明後日の木曜日に」
申也「はい。緊急の除霊依頼が入ったらまた連絡します」
阿曾「温井部長~一緒に帰りましょ~♪」
先輩「あぁ」
会計を済ませて店を出ると、阿曾は先輩の腕に抱きつきチラリと後ろの俺達を振り返って「着いてくんなよ…」と睨みを効かせて歩いて行った。
太「いや…俺…帰る方向一緒なんだけど…」
申也「少し距離取って歩けばいいだろ。鬼ノ城君は電車だっけ?」
俺「あぁ。俺はあっちだから」
太「じゃあ鬼っちまったなー」
ブンブンと元気に手を振られて、ちょっとぎこちなく手を振り返して彼らと別れた。
帰りがけに誰かと寄り道するなんて初めてだ。
なんか…濃い一日だったな……。
初の除霊活動も無事に解決出来たし、入部も友人もできて…。
自分の力を気味悪がられるどころか歓迎してくれるなんて願ったり叶ったりだ。
…これからもっといいことが起こりそうな期待にワクワクしながら家路についた。
そう――。
浮かれていた俺はすっかり先輩がなぜ黒く視えるかなんて忘れていた――。
この後過酷な“選択”が待ち受けているなんて。
この時の俺は知る由もなかった――…‥。
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