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翌日の水曜日の放課後。
気になって事故現場を通ったら、もう“バグ”は消えていた。
「あの…」と後ろから話しかけられて振り向くと、青井が立っていた。
青井「ここに来ればあなたに会える気がして…。待ち伏せしてすいません」
俺「いや…俺に何か用?」
駅まで二人で並んで歩くのがものすごく気まずくて早速話題を切り出した。
青井「…昨日あの後、部活終わりの真辺君に会ってお守り渡しました」
俺「…だろうな。もう“バグ”がいなかったし」
青井「じゃあ…あの子成仏したんですか?」
少しだけ声のトーンが高くなる。
俺「さぁ…俺が見えるのは魂じゃなくて、未練だけだから…」
青井「そう…ですか…」
俺「……‥」
なんか言い方まずかったか?ちゃんと成仏したって嘘でも言ってあげた方が彼女の為だったのか?
対人スキルが「0」だからこんな時どうしたらいいのか分からん…。
青井「私…ちゃんと言ったんです。真辺君に」
俺「え?」
青井「このお守りは美優が真辺君の為に買ったものだって」
俺「…そうなの…か‥」
“バグ”も消えていたし彼女の手から渡したのだからそれで未練は果たされたってことか。
青井「そしたら真辺君泣いちゃって…それで彼の気持ちが分かったんです」
俺「…‥」
青井「美優も彼の気持ちに気づいてたんでしょうね。だから罪悪感で私にお守りを準備してくれてたんだろうなって分かっちゃって。あ、私達彼を追いかけてこの高校に入学したんですよ。でもだからって…死ぬ直前まで私の事心配してくれてたなんて…ホント馬鹿ですよね」
ピタリと足を止めたので、俺も彼女の横で立ち止まる。
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