この世界と私

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この、生と死の区別もないような混沌とした世界で、何故私は産まれたのか。 いや、産まれたのなら、まだ自由はある。私は創られた。超再生能力を付加されて、感情を殺されて創られた、ただの人形。それが私だ。 私の身体は、兵士達の欠損した部分を補填する為の道具に過ぎない。切断されたパーツは、それだけで命を繋ごうとでもするかのように、他人の肉体だろうと構わず癒着しようとする。そして私の身体は、切断された部分から、激痛と、失われた筈のパーツの感覚を拡げながら再生する。 残念ながら、命の流れ出てしまった肉体には、それは癒着しないが。 そして、どんなに科学者達が頑張ろうとも、その再生能力を後天的に、人体に与える事は出来ないのだが。 時には部品としてではなく、兵士達の慰みものになる事もある。 兵士達は、何回私の中に入ろうが、その度に初めてを感じられると、下卑た笑いを浮かべるのだ。 それでも、部屋の隅で腐り、また再生しては腐っているあの子や、身体中に肉腫のような盛り上がりが出来て、肉塊にしか見えないあの子よりはマシなのだろう。 私は数少ない、完成品だから。
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