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「すごいホラーですねぇ、おもしろいです。」
「ほんと?」
美玲は、グレーの瞳を持つ青年に微笑んだ。
「『椿』という子の初めの夢に出てくる声って、僕ですよね?」
「そうなの。よくわかったね。」
気づいてくれたことに喜ぶ美玲。
「なんかね、それ書いてるうちに、今いる場所が現実か夢かわからなくなっちゃったの。ねぇ、ここは、現実?」
「さあ? ほっぺたでもつねってみますか?」
美玲はつねられないように、頬を押さえた。
おかしそうに笑う青年。
「ねぇ、本当にその脚本通りにすることができるの?」
「はい。」
「夢の中で見る夢を見させることも?」
「はい。」
美玲は目をキラキラとさせた。
「すごいね、魔法使いみたい。」
「いえいえ、そんな洒落た者じゃありませんよ。」
青年は、どこからか取り出したピエロの面を掲げた。
「僕は、道化師です。」
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