壱の回 ピエロは夢の中で笑う

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「すごいホラーですねぇ、おもしろいです。」 「ほんと?」 美玲は、グレーの瞳を持つ青年に微笑んだ。 「『椿』という子の初めの夢に出てくる声って、僕ですよね?」 「そうなの。よくわかったね。」 気づいてくれたことに喜ぶ美玲。 「なんかね、それ書いてるうちに、今いる場所が現実か夢かわからなくなっちゃったの。ねぇ、ここは、現実?」 「さあ? ほっぺたでもつねってみますか?」 美玲はつねられないように、頬を押さえた。 おかしそうに笑う青年。 「ねぇ、本当にその脚本通りにすることができるの?」 「はい。」 「夢の中で見る夢を見させることも?」 「はい。」 美玲は目をキラキラとさせた。 「すごいね、魔法使いみたい。」 「いえいえ、そんな洒落た者じゃありませんよ。」 青年は、どこからか取り出したピエロの面を掲げた。 「僕は、道化師です。」
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