壱の回 ピエロは夢の中で笑う

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わたしは飛び起きた。 雨戸の隙間を通して、朝日が入ってくる。 「今のも、夢……?」 あれが夢? 現実と変わりなかった。 いつものふわふわした感じはない。 絶対に、現実だと思ってたのに。 とにかく、一階に降りよう。 もし、今も夢でも、今日は平日。 現実通りに登校しよう。 「おはよう。」 「珍しいね、姉ちゃんがギリギリまで寝てるなんて。」 え? わたしは、目の前のことが信じられなかった。 「楓?」 唖然として見ていると、 「何バカみたいな顔して見てんだよ。遅刻するぞ。」 楓……やっぱりいるんだ。 そうだよ、だっておかしい。 わたしには実際に弟がいる。 いないほうが変なんだ。 わたしは嬉しいのとホッとしたのを隠して、朝の支度を済ませた。 「うわっ、もうこんな時間! いってきます!」
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