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餞別にやるよとお節介な親友がくれたのはそれ用のローションとゴムだ。こんなものをどこで買って来たのかを敢えて赤穂は聞かなかった。
ローションの蓋を開けてチラリと呉に目をやり、最後までしてもいいかと尋ねたらさっきまでの積極的な呉は消えて、顔を真っ赤に染め、消え入るような声で、うん、と小さく頷いた。
狭い場所にぬるぬると指を進めると呉は枕に顔をうずめて必死に湧き上がる羞恥に耐えていた。こんな狭い場所に本当に入るんだろうかと赤穂は不安だった。ローションを出来るだけ足して、ゆっくりと指で内側を撫でるように動かすと、痛みとはまた違う反応を呉は見せた。
「呉、大丈夫か?痛い?」
声を出せないのか呉は必死に目を瞑り、首を横に振って答える。呉の身体は小刻みに震えていて、自分がまるでいじめているような気がして怖くなる。
「辞めるか?」
「うう、ん。いい。赤穂になら……いい。何されてもいいんだ」
そんな瞳でそんな声でそんな言葉を囁かれて、おかしくならない奴はいないと、赤穂はもう親友なんかには戻れない自分に覚悟した。呉を自分の物だけにしたいと、それしか頭にはなかった。
呉の震える指先が伸びて赤穂の腕に触れる。
赤穂は汗ばんだ呉の額に口付け、そのまま唇を塞いだ──。
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