328人が本棚に入れています
本棚に追加
細い指を必死に伸ばして、呉は赤穂の頬に手をやる。生理的に出る涙とは裏腹に呉は優しく微笑んでいた。赤穂は思わず泣いてしまいそうになるのを唇を噛んで堪え、その手に自分の手を絡ませ強く握り締める。
細い腰を引き寄せ、ゆっくり中に少しずつ進むと、その度にぎゅうぎゅうと切なげに締め付けられる。今まで味わったこともない快感に腹の周りがビリビリと痺れ、ヤバいと思った瞬間、もう間に合わなかった。
「あっ……」
呉は身体の奥に熱いものが注がれるのを感じた。
「赤穂……」
「見んなっ!くそっ!わああっなんで、俺のバカっ」
赤穂は首から一気に頭の先までを赤く染め、右手で自分の顔を抑えて隠す。今の今まで呉が見たこともないような弱々しい姿だ。
「……赤穂、かわいい」
「かわいくねぇよ!最低だわっ」
「赤穂は最低なんかじゃないよ、大好き、キスして」
おずおずと隠していた顔を見せ、恋人の願い通り口付ける。腕を回され前に倒れこむと繋がった場所がずるりと離れ「んんっ」と舌を絡ませて来た呉が声を漏らす。
「赤穂……、ぎゅって、して」
「ん……」
抱き締めた呉の心臓の音が聞こえる。自分と同じ少し速いリズムを刻んでいた。
「なんか、ごめん……」
心細い声で赤穂は呟いた。
「なんで謝るの?俺は嬉しいよ、赤穂が気持ち良いって思ってくれた証拠だから」
最初のコメントを投稿しよう!