あやつなぎ。(終)

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 廊下を歩く途中で予鈴のチャイムが鳴った。廊下を生徒たちが少し慌て気味で歩いていく。  何人かに一人はその手からキラキラした糸を揺らしていて、すれ違いざま、俺は思わずその糸だけを目線で追った──。  目線を前に戻し、左手を翳す。俺の糸は他の人に負けじと輝いて棚引いていた。  満足そうにそれを眺め、大切に隠すみたいに制服のポケットに左手をしまった。糸には温度もないのになぜかポケットの中が暖かく感じた。 ──いつか、見えなくなる日が来ると良いと思う。  それでも、相手を変わらず信じていられたら──  見えていた時よりずっと、幸せでいられるだろうから──。  俺は頭の中に大好きな人の顔を浮かべながら頬を緩ませ、一年の教室に早足で進んだ。
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