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蝶結び(おまけ)
「で?どうだったのよ」
二人きりになった陸上部の部室で久野詔は整った顔を台無しにするような下衆の顔をして赤穂にさきほどからじりじりと迫っている。
「うるさいよ! お前はさっきからぁ! 呉にも同じような事聞いてないだろなぁ!」
「聞くわけないじゃん~怖いもん!」
「お前な……」俺は良いのか、と呆れたように赤穂は漏らした。
「俺のDVD効果良かったでしょ? 呉泣いたろ? 無理無理~~ってしがみついてきたろ?」
「えっ!?」赤穂は思わず眼を見開いて久野を見る。
「え? 違う?」
渡された何かに隠しカメラでも付いていたのではないかと赤穂はゾッとする。訝しんでその顔で見つめるが、親友は相変わらずいやらしい下衆な笑顔のままだ。
「──金を積まれてもお前には絶対話さない!!」
「ケチ!」
久野は諦めたのか立ち上がり制服のシャツをロッカーに投げ込んだ。
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