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「ふーん、上手にできなかったんだぁ……」
「ハッキリ言うなよ、お前」
呉はまわりに聞こえてはいないかとキョロキョロと焦り、その顔は既に真っ赤っかだ。
「でも初めてなんだし、そんなもんじゃなーい? 痛いし、うまいこと入んないし、さっさとイッちゃうなんて、珍しいことでもないよね」
この後輩はどんな手だれなんだと呉は慄いたが必死に先輩然として、顔に出さないように努力した。
「かわいいなぁ~、すぐイッちゃったんだ、赤穂先輩。やばい~かわいい~」
怪しく肩を左右に揺らして千暁は両手を胸の前で組み、勝手な妄想を展開している様子だった。
「おい、変な想像すんなよ?」
聞いたこともない呪いのような声に千暁は身の危険を感じ、さっと我に帰る。
「えーと、で? 先輩、本題は?」
「どう、やったら、その……」
「最後まで入るかって?」
「~~~~~~!!!!!!」
呉は首まで一気に赤く染めて今にも心拍数が上がって、倒れてしまいそうだった。
「かわいいなぁ、先輩、何なの。純粋培養もここまで来たら俺的にはずっと絶滅危惧種として大切に保護しておきたくなるんだけど」
年上の頭を動物でも可愛がるみたいに千暁は撫でる。
「馬鹿にするのも良い加減にしろっ! 俺は、先輩だぞっ」
「じゃあもういいですか?先輩相手に教えなくていいですよね、じゃあまた後で」
千暁は無愛想にそう告げて呉に背中を見せる。
「嘘嘘っ待って! ごめん! 嘘!!」
その肩を必死に呉は引き戻すと千暁はゆっくり呉の正面を向く。
「──じゃあ先輩、俺、真剣に教えますけど……。ひとつだけ確認させてください」
千暁の真剣な顔付きに思わず呉は緊張し、唾を飲み、頷き、向き合って指南を待つ。
「赤穂先輩のアレはデカかったですか!」
ものすごい勢いで平手打ちされ、千暁は一瞬目の前に星を見た。
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