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「ひっ、あっ、ははは!あははは!!」
千暁の部屋で詔は腹を抱えて大爆笑していた。
「全然笑い事じゃないからね! パワハラだよ! パワハラ! いや、体罰かも!」
熱冷ましのシートを貼って千暁はヒリヒリする左頬をさすりながら大きなため息をついた。
「いや、お前だってそれセクハラだからね。それに相手が悪いよ、呉って……、あと、誰にも言うなって言われたんじゃなかったのか?」
「いいの、交渉決裂だもん!」
千暁は口を尖らせて不満を爆発させている。宥めるように手を伸ばして頭を撫でてやると、呼ばれた飼い犬みたいに千暁は揚々と詔の膝の上に座る。 詔はそのまま後ろから腰に手を回し千暁の肩に顎を乗せる。
「俺も参加したかったなぁ、そのお悩み相談室」
「アンタは? 赤穂先輩から何も相談されなかったの?」
「ぜ~んぜん。聞いても何にも教えてくれなかったよ、俺のナイスアシストでヤレた事を仇で返しやがって……」
千暁はじとりと横目で詔を見る。
「いやぁ、アンタもなかなかに下衆いね」
「ん~~?」
知らなかったのか? と言わんばかりに詔はニンマリと笑ってみせた。
詔の携帯の着信音が短く鳴り、後ろポケットから取り出し画面に眼をやる。
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