蝶結び(おまけ)

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「千暁、千暁!」  肩を揺すって名を呼ぶとヒッ! と息を吸い、胸を上下させ何度も深く呼吸を繰り返した。 「み、こと先輩……のバカァ……、怖かっ、た……」  グスグスと千暁はこどものように泣き出し、詔は慌てて頭を抱えるように抱き締めた。 「ごめん、ごめんな。本当にごめん」  泣きじゃくる千暁の頭や耳に口付け、何度も優しく頭と背中を撫でた。 「怒っ……、ってたの……? 俺が、赤穂先輩の話、したから?」 「ううん、怒ってない。ごめん。俺が勝手にヤキモチ妬いたんだ、ごめんな」 「信じてる……って、先輩、ゆった、のにぃ……」  涙と悲しみでぐちゃぐちゃになった顔で必死に千暁は詔を見ていた。その瞳を真っ直ぐ見るのが今の詔には少し辛かったが、ゆっくりと視線を重ねた。 「信じてるよ。けど、どうしようもない事もあるんだ。お前のこと大好きだから嫉妬するんだ。二つ上だって俺はまだガキだし、余裕なんてないんだよ」 「わかんない。先輩は何に嫉妬するの?俺は先輩しか好きじゃないよ、赤穂先輩の事は憧れだったんだ。エッチしたいのは詔先輩だけだよ……?」     
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