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「おまえ~紛らわしいよ~~!!」
詔も一緒に泣いてしまいたい気分だった。自分は何を勝手に妄想して一人で嫉妬して、暴走して、馬鹿を通り越して最早滑稽でしかない──。
もう一度千暁を抱き寄せて、安堵のため息を漏らす。
「詔先輩に嫌われたかと思って、俺怖かったよ……、もうやだ、やだ……」
心細く消え入るような声で千暁は嘆く。千暁の傷付いた心が声とともに詔の心臓に刺さる。
「大好きだよ。見えてわかるって、お前言ってたろ? 見えなかったのか?」
「……もう、ね、見えないんだ。気がついたら何も見えなくなってた……。見えてる時は見えなくなればいいと思ってたのに、いざ見えなくなると、すっげー不安になんの。勝手だよね……。俺、意味わかんないこと言ってるよね、信じなくてもいいよ」
その真剣な声色を誰が冗談だと思うだろうか。詔は千暁が何の話をしているかは全く頭では想像が出来なかったが、周りの人間や自分には見えないものが、かつての千暁には見えていた事だけは理解した。
「信じるよ。お前だって俺がそう話したら信じてくれるだろう?」
その優しい声色に千暁は濡れた大きな瞳を見開き、そして細めて笑った。
「大好き、詔先輩」
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