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そこにちょうど男の子の姿を見た隆次は
「では、あの子に聞いてみるとしましょう。」
そう言って隆次は男の子に声をかけた。
「もし、少し訪ねたいことがあるのだが。」
「ん?なんだ、旅の人か。なにを聞きたいんだい?」
「ここの集落に新城幸長殿と言う方が住んでいると聞いたのだが知らないか?」
隆次がそう聞くと先程まで明るい感じで受け答えしていた子が急に警戒心を出したように態度をかえた。
「お前、どのしてその名前を知っている。まさか、甲賀の忍びか!!」
男の子が懐に手をすっと入れた。
それを見た隆次も少し距離を取り警戒して身構えた。
その時、
「やめなさい、仁助。その者は甲賀の忍びではない。」
仁助と呼ばれたその男の子は呼び止めた男のほうを向いて、
「幸長様。」
そう言葉を漏らした。
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