第2章・もう1度

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「ったく。世話の焼ける人間だな。」 そう言って真輔は私をおぶり、歩いて行ってくれた。 「着いたぞ。」 真輔がそう言った時にはもう辺りは真っ暗で、静まり返っていた。 「どうしよう。お母さんに怒られる。」 「お母さんが嫌い?」 「うん。」 「蘭は愛の形を知らないんだね。」 「愛の形?」 「愛してるから大切にするし、愛しているから怒るんだよ。」 そっか。そうだったのか。 「ありがとう、ばいばい。真輔。」 「・・・あぁ。もう来るなよ。」 真輔は深刻そうに言う。 「・・・・・うん。」 橋を渡り、家に帰る。 「ただいま。」 そう言いドアを開けると、妹の美華月が駆け寄ってくる。 「お姉ちゃんどこ行ってたの!?心配したんだよ?」 「あれ、お母さんとお父さんは?」 「警察。ちょっと連絡するわ。」 美華月は可愛くて小2なのにしっかりしている。美華月が連絡してくれて、お母さんとお父さんが帰ってきた。私を見たとたん、泣き出して抱き着いてきた。 「蘭、何してたの?心配したのよ?」 「ちょっと迷子になっちゃって。」 「よかった、かえってきてくれて。」 苦しいぐらい抱きしめられる。これが愛なのね。 次の朝、目が覚める。また、橋を渡りたくなっ
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