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翌日、糸は村の人々に見送られて、村をあとにした。
桜まつりの時、新太とぶつかった男(一ノ瀬屋のご主人?)から受け取った住所を見ながら向かった。
村から20分ほどしたところに、その屋敷はあった。表札には、“一ノ瀬”と彫られている。
糸が大きな門の前でうろうろしていると、後から誰かに声をかけられた。
「あの、御用でしょうか」
糸が振り返ると、そこには買い物から帰ってきたらしき荷物を持った50代ほどの女性が立っていた。
「あ、はい!今日からこちらで女中として働かせていただく坂本糸と申します」
「ああ!あんたがそうかい!御主人様から聞いていたよ」
女性は優しげな丸い笑みを見せて屋敷の中へ誘導した。
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