三郎の恋心

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外の空気はとても良く澄んでいて、星が綺麗だった。 糸は、小川のほとりに座って、深呼吸をした。 「糸」 後から自分の名を呼ぶ声がして、糸は驚いて振り向いた。 「三郎」 三郎は、糸の隣に座った。 「三郎も寝れなかったの?」 「いや、誰かが家から出てく音がして、それで起きた」 「ごめん、起こしちゃったね」 「いいよ、お前とこうやって二人で話す機会ができたから」 糸はほほえんだ。 月の光が川に反射してキラキラしているのを糸は眺めた。 その横顔を、三郎は目に焼き付けるように見た。 小さい頃から一緒に育ってきたが、いつの頃からか自分の糸に対する気持ちが何か違うものに変わったのは三郎自身気づいていた。 しかし、その気持ちを伝えたら何かが壊れてしまいそうで、伝えることが出来なかった。 「糸?」 「ん?」 「本当に、一ノ瀬屋にいくのか?」 「もう決まったことだし、それに私、お手伝いとか好きだから!」 「でも、もし向こうの人にいじめられたりしたらどうするんだよ」 「まったく、三郎は心配性だなぁ」 糸は笑った。 「本気で言ってんのに」 「心配してくれてありがとう」 「ずっとここにいたらいいのに」 三郎の、いつもと違う感じが糸に伝わり、 花もつられて涙が出そうになるが 明るくしようと機転をきかせた。 「三郎ったら、私がいないと寂しいんでしょ!」
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