六,五、楽しませ方

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アリスのままごとをして翌日。朝起きると、皆はまだ静かに寝ていた。 俺は朝飯を何か買ってこようと、私服に着替えて外へ出た。 コンビニで適当にパンを買い、旅館に戻る。 すると、そこには女将さんがいた。 「あ、おはようございます」 「おはようございます」 挨拶をしてきたので、挨拶を返して戻ろうとする。 しかし、 「日にちは決まりましたか?」 女将さんの、不明な問いによって足を止めた。 振り返ると、女将さんは微笑んでいた。 「どういうことですか?」 俺は、訝しげに聞く。 すると、女将さんは少しキョトンとした後に、口元を軽く押さえて「あら」っと短く驚いた。 「もしかして、ご存知ではない?」 もしかしなくても、知っていない。 相手の思考を知ることなんて無理なのだから。 そんな俺を察してか、女将さんは説明を始める。 「この旅館には、自殺なさるかたがいらっしゃる場所なので」 「っ!?」 俺は目を見開いた。 俺は、自分の住んでいたところから離れた場所にあるここを、あまり知らない。 だから知っているわけがない。 「という事は、閉館って」 「あ、はい。自殺者と警察の方ばかりしか来ないので、一般客がいらっしゃらなくなって」 女将によると、一人の客がこの旅館を利用し、その後自殺をした。 そこへ警察やらが調査をしたりしたら、周りからの評判も悪くなり、逆に自殺志願者からの評判が上がってしまったという事だ。 「ですので、いつなさるか決まったら、お声賭けください。閉めますので」 そう言って、女将はカウンターにすわり本を読み始めた。 俺は、黙って部屋に戻った。 皆はまだ寝ていたが、一人、光だけは起きていた。
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