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お妃教育二日目。
クラビが軽く聞香の説明をする。
「皇妃は、ご経験ありますか?」
「以前、リシャスと共に」
クラビがそうですか、と続ける。
クラビに聞香を村で教えてもらっていた。
皇女であったクラビは、一通り何でもできる。村にいた時は、村長ですら、習いにくるほど。もちろん、村の子供は全員教育される。
こういった教養は、あっても無駄にならない、というのがクラビの教え。
まずは、最初の香りを嗅ぐ。くんくん。
そして、隣に渡す。
そして、次の香りを嗅ぐ。くんくん。
そして、隣に渡す。
そして、順番に春、夏、秋、冬のどれかひとつ、札を裏返して自分の前に出す。
リーナは、一枚札を裏返して出す。
貴夢ちゃんも、一枚札を裏返して出す。
「まずは、宮妃候補から」
「最初の香りを例えてください」
はい。自信はまったくありませんが、
「鴬のさえずりを聞くような、春の訪れを感じました」
自分の前に出した札を裏返して、春の字をだす。
「では、皇妃、最初の香りを例えてください」
「初秋の朝、初霜が降りるような寒さを感じました」
え、初秋?
貴夢ちゃんが、札を裏返して、秋の字をだす。
「さすがです。」
あーあー、やっちゃったー。
「なにやってんのよ」
トドが、いや、トンドが笑う。
「3月に春の香り、だすわけないじゃない」
う。痛。
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