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午後に基本から応用までを、一通り習う。
そして、明日明後日は、お妃教育はお休みで、漢詩の詩作の素材探しをしなければいけない。
素材探し。
最適な場所がある。
東宮御所の奥の奥、畑と樹木園。きっと季節感いっぱいの何かがある、はず。
ミヤに許可をもらって、ひろびろとした研究センターを歩き回る。
目の前に、雄の孔雀が現れる。
近くに飼育員と思われる男性。
「こんにちわ」
挨拶をする。研究センター内で宮服はおかしいと思って、普通のワンピース。もちろん、ミヤの表紋がはいったブレスレットはしている。
「こんにちわ」
飼育員のお兄さんも挨拶をしてくれる。
そのまま、柵ごしに雄の孔雀をみる。
飾り羽を広げた様は、美しい。荘厳である。
こちらをじっと見つめている。見つめている、というか、睨んでいる。
「すごい警戒心が強いんですよ」
飼育員のお兄さんが、説明してくれる。
「ちょっと、見えにくいと思うんですけど」
「雄の左奥に、ほら、雌がいるんです」
雌の孔雀は、茶色の毛で、小柄で、雄のような華美さは全くない。
そのきれいでもない雌の孔雀を守ろうと、雄の孔雀がこちらをにらんでいる。
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