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━━書類選考通過━━ つきましては、筆記試験と面接日時のお知らせを… 理恵子は信じられない思いで届いた書類を見つめていた。 てっきりまたお祈り通知だと思っていたら ここへ来て、面接までこぎつけることが出来たのだ。 それもこんな大手企業から…。 理恵子は嬉しさのあまり、思わず尚子に電話をかけた。 「尚子!聞いて!書類選考に通過したの!この3ヶ月で初めてだよ」 「え!本当?よかったね!」 尚子は自分の事のように喜んでくれた。 「ただ、水をさすようで悪いんだけど…ついさっき、ショッピングモールで朋子に会ったんだけど、朋子も応募して、書類選考に通ったんだって」 尚子の言葉に理恵子は固まった。 「え…トモコって…同級生の朋子?東京にいるんじゃなかったの?」 「あたしもそう思ってたんだけど、去年離婚して子供を連れて戻ってきたんだって…言わないほうがいいと思ったんだけど、面接会場で会うかもしれないと思って…」 正直、二度と聞きたくない名前だった。 もう15年ほど前の話だが 矢口朋子は、中学校時代に理恵子をいじめていた女だった。 朋子が好きだった男の子と隣の席になり やさしかったその男の子とよく話すようになった ただそれだけで それが気に食わなかったというだけで 朋子に逆らえなかったクラスの約半数の女子から無視され続けた。 存在しないものとして扱われたのだった。 周到な朋子は、教師の前では普通に振る舞った。 わざとらしく理恵子に親切なように振る舞ったりもしていた。 おかげで教師は誰一人気付かなかった。 “いじめられている” 周囲にそう思われることは何よりも屈辱だった理恵子にとって、気付かれないことにむしろホッとしていた。 暴力を振るわれたわけではない あからさまに理恵子にわかるようにヒソヒソと悪口を言う 体育で二人一組になる時に余り者にされる その程度のことだったが 中学生の理恵子にとって、自分が存在しないように扱われることは、想像以上に辛いものだった。 学年が変わって朋子と別のクラスになり、その地味な“イジメ”は終わったが 朋子は同じクラスの別の女の子にターゲットを移しただけだった。 “トモコ” その名前を聞くだけで、当時のトラウマが蘇り みぞおちの辺りがキュっと痛んだ。
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