運との戦い

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「きたか」 夏、汗を足らしながら。乗った満員電車で幾度となく戦ってきたあいつがまた帰ってきた。 中学の時に負け、泣きながら帰ったあの日。あの日から例え夏だろうが、対策に上着を着。やつの攻撃に耐えてきた。 「ぐっ」 1回目の奴らからの攻撃がくる。踏ん張り、また耳につけているウォークマンを意識しなんとか耐えようとする。 「ふぅ」 第1の攻撃が終わる。しかし今回の攻撃はかなり練度の高いものであった。これは、途中下車も考えなくてはならない。 いったん収まれば余裕だと感じるものだが。次の攻撃が始まればなぜ降りなかったと後悔するのだろう。 駅のドアが開き。何人かの人が外へ出ていく。 どうする?撤退か続行か。 腹をさすりながら、自分にいい聞かせる。 多分……なんとかなる。 続行だ。 そうして、降りずに次の駅に向かう。 次もそのまた次も攻撃は来なかった。なんだやはり余裕じゃないか。このままいけば…… 急な腹痛に襲われる、奴らが責めてきた。先程とは比べ物にならない威力だ。 よりにもよってこの5分ほどかかる時にこのレベルがくるとは。 イヤホンを外す。音なんかに構ってる場合では無くなったのだ。 足を小刻みに震わせる 。同時に自分の下半身に力を入れ、奴らを外に出さないようにする。 「はぁはぁ」 呼吸が荒くなる。動けない状態で腹をさすりながら必死に着くのをまつ。こういうときに右のポッケにあれを入れとけばいいと思ったが。だいたい、その日が成功すれば。忘れて買わないのだろう。 ……だがしかし。 「今回も私の勝ちだったな」 ドアが開き撤退を開始する。駅構内にも、停戦場所はあるが。他の陣営の方で混雑してるのでおすすめしない。 開門されないよう小刻みに走りながら、駅近くのマックを目指す。 「いらっしゃいませー」 定員の声を聞いてる暇などなく。停戦場所に行き、無事停戦を迎える。 「ふぅ」 戦いが終わった解放感により、気持ちが軽くなる。 予め早く着くことを予定してたこともあり。ここいらで、朝マックを買い、食べてから気持ちよく、乗り換え電車に乗った。そして…… 「ぐっ」 どうやら今年の夏も、奴らとの戦いは多くなりそうだ。
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