指先に、乗せる

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(回り道にはなるけど、あの人たちの前を通りたくないし……暗くてちょっと怖いけど、仕方ないよね) カナコは小走りで、細い路地をどんどん進む。 この辺りは街灯も無く、本当に真っ暗だ。 あの曲がり角を右に曲がって、真っ直ぐ突っ切れば、公園の向こう側の、いつもの大きな道に出られる。 ふと、カナコは違和感を感じて立ち止まった。 (あれ? あの角の向こう…… 明かりがついてる) この先にも、街灯や民家は無かったはずだ。 だとしたら、あの明かりは何なのだろう。 ドキドキしながらも、カナコは明かりに引き寄せられるように角を曲がった。 そこに、道は無かった。 かわりに、レンガの小さな家が建っていた。 おとぎ話に出てくるような、三角屋根に煙突の付いた、かわいいお家だ。 小さくて丸い窓から、暖かい明かりが漏れている。 そっと中を覗いてみると、カウンターのようなものが見えた。 (カフェでも出来たのかな?) カナコは、窓の横の、小さなドアを開けた。 「……わあ」 中は、ほんのり暖かい。 ふわっと、甘い花のような香りに包まれる。 おしゃれなカフェのようでもあるけど、淡いピンクと白を基調にまとめられた、アンティーク風なインテリアが並ぶこの部屋は、お姫様が住んでいそうだな、とカナコは思った。
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