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「スフィ、そこから行ける?」
「行ける……が、どう放つ?」
一番大きな天幕と言っても、柱で支えてあるだけで当たれば崩れてしまう。
それに10畳あればいいくらいだ。距離は近い……
「試しに連発で放って」
スフィが連続で氷の玉を放ち、顔や足に当たった部分は段々と凍っていくのをみて、全体に凍らせてくれと頼み、スフィと入れ替わってサムの前に立つ。
「奏太!奏太聞こえるか?」
「何?」
「凍らせても近づくな!しばらく様子を見ろ」
「え?わ、分かった。でも何で?」
「念には念をだ。ノア砕けるか?」
「はい。直ぐですか?」
「完全に凍ってから30は数えてろ!」
数えろって遊びじゃないんだと文句を言おうと水晶を見ると、クローンをしっかりと睨みつけている結月を見て、冗談ではないんだと思い指示に従う事にした。
「ノア」
「あれ見て?」
凍って動かないはずの顔を見ると、口が少し動いている。魔法だと困るが、何かを伝えたくて言っているのかもしれない。
「奏太、迷うな!砕け」
「ノア、行って!」
ノアが中心に亀裂を入れると、ピシッと蜘蛛の巣のように細かい割れ目ができたので、そこを中心に斬って行くと、小さな氷の塊が一山できた。
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