78/80
1189人が本棚に入れています
本棚に追加
/393ページ
「スフィ、そこから行ける?」 「行ける……が、どう放つ?」 一番大きな天幕と言っても、柱で支えてあるだけで当たれば崩れてしまう。 それに10畳あればいいくらいだ。距離は近い…… 「試しに連発で放って」 スフィが連続で氷の玉を放ち、顔や足に当たった部分は段々と凍っていくのをみて、全体に凍らせてくれと頼み、スフィと入れ替わってサムの前に立つ。 「奏太!奏太聞こえるか?」 「何?」 「凍らせても近づくな!しばらく様子を見ろ」 「え?わ、分かった。でも何で?」 「念には念をだ。ノア砕けるか?」 「はい。直ぐですか?」 「完全に凍ってから30は数えてろ!」 数えろって遊びじゃないんだと文句を言おうと水晶を見ると、クローンをしっかりと睨みつけている結月を見て、冗談ではないんだと思い指示に従う事にした。 「ノア」 「あれ見て?」 凍って動かないはずの顔を見ると、口が少し動いている。魔法だと困るが、何かを伝えたくて言っているのかもしれない。 「奏太、迷うな!砕け」 「ノア、行って!」 ノアが中心に亀裂を入れると、ピシッと蜘蛛の巣のように細かい割れ目ができたので、そこを中心に斬って行くと、小さな氷の塊が一山できた。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!