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焼け野原となった幻界の城。
泣き崩れていた結月も、さすがは姫。
涙を拭き、城へと1歩ずつ足を進める。
逃げてきた人々は怪我をしている者もいる。
「姫……」
「姫様……」
沢山の人が結月を呼ぶが、前だけを見て城へと向かっていく。
ルーカスの兵たちが、中の人を助けながら消火もし、怪我のないものも魔法の使えるものは魔法で水をかけ何とか火が収まっている状態だった。
城の門から結月が駆け出したので、それを追いかけていき、王の間へと入る。
「母!母上!!!」
「ジョナス!」
「はい!」
「聞こえるか?結月だ!母よ……」
「ゆ……づき?無事なのね?」
「喋るな!すぐに治す……ユーリ結界を!」
「結月、よく……お聞きなさい。私はもう……あなたが、この界を……」
「何を馬鹿な!おい、おい!聞こえるか?おい!!!」
女王の手は既に下にさがり、目を閉じてまるで眠っているようにさえ見える。
「結月……もう」とルーカスが首を横に振る。
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