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「地底人の存在と生態については、食料である色の付いたブロックについて調べてきました。前にメールした資料にまとめてあります。しかし文献やサンプルも少なく、この課題を調査する研究で本当に星の核心にたどり着くような研究に繋がるとは思えない」
ワイ博士は本議論に埒があかない状況であると認識してから、エックス博士にこの議題の結論を急がせた。
「ホラ、君の仕事の役目は、私の出した課題を優先的に研究する事だ。それのどこが間違っているというのか。私と君とでは、お互いの立場も異なれば、視点も違う。このまま討論するだけでは永久に終わることがない。そんな無意味な事を続けるのは、お互いにとってデメリットにしかならない。それはここに集まっている研究者たちにも影響する。そこでだ。第三者の立場でエックス博士から君の研究についての方向性について決定していただこうではないか?異論はあるかい」
エックス博士はホラの上司にあたるため、ホラにとって優位であると考えた。
そのため、ホラは首を立てに振って答えた。
「異論はありません」
しかしエックス博士も立場上、平等な答えを出さざる得ない。それは周りを納得させる答えを導かなければならないのだ。
「今の状況からはワイ博士のご意見がごもっともで、意見を覆すための材料がない以上、個人の研究を進めるより、全体の研究として進める事が方向性にあっていると考えられます。他の研究者からもその意見に反論がなければ、それで進めて頂きたいと思いますが、いかがでしょうか?」
その場にいた研究者は誰も発言しようとはしなかった。ホラが嫌いだからではなく、材料を求められたときに、今は求める答えが出ないことを皆知っていたからだ。
「ではホラ君の研究は、引き続きワイ博士の課題の棚卸しを続けていく事とする。それでは本日の定例会は以上とします」
納得できなかったホラは、打合せ終了後、エックス博士の元で相談を始めた
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