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私は口に折り曲げた指を充てて、悩む。
秘密。
ケンちゃんの背後にあるストーブが熱風を吐き出して、私はその風を正面から浴びている。
ケンちゃんは私を見ている。
氷は融けていく。
「私……ケンちゃんって結構かっこいいんだなって思ってる。えっと、最近」
時折見せる色っぽい仕草とか、ふざけてる時に触れる手の大きさとか、私はそんなことでちょっとだけドキドキする。
幼馴染なのに。
「知ってた」
ケンちゃんは言ってからにやりと笑う。
「自信過剰」
私は急に暑くなった気がして「ストーブ止めて」と命令口調で言うと、小さな欠片に近い氷をすでにある氷の上に落とした。
そんな小さな欠片ですら、サイダーは水位を上げる。
ケンちゃんはストーブを切り、それは不満げに音をあげて、灯油のにおいを残して消えた。
「俺のピアス、女の子と別れるたびに開けてた。好きじゃないのに付き合ってごめんって懺悔の気持ちを込めて」
「今幾つあいてるの……」
私が覗き込もうとすると、ケンちゃんは見なくていいと顔を顰めて氷を握る。
ケンちゃんの置いた氷はもうこれ以上入れたら溢れると言いたそうに、グラグラと揺れた。
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