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宣言通り、ケンちゃんはだらしなく着崩した制服姿でうちのチャイムを鳴らす。 「寒いから、1分以内に開けてよ」 玄関を開けて顔を出した私に、ケンちゃんは肩をちょっと上げて身を縮めた格好でポケットに手なんか突っ込んで文句を言った。 私は一歩体を引いて、ケンちゃんを家に通す。 「なんで、寒いとか言いながら氷買って来てるの?」 ケンちゃんの腕にかかったコンビニの袋から透けて見えるロックアイスの文字に、私は眉を寄せた。 「久しぶりにゲームしようと思ってさ。カスミはグラスとアイスピック」 そう言って、一応お邪魔しますと言いながらさっさと家に上がり込んで、私の部屋がある二階を目指す。 「寒いじゃん!」 背中に向かって私が言えば、階段に一歩足を掛けた状態で振り返る。 「暖房器具って言う文明の力を使う」 「灯油ないよ、入れないと」 「分かった、俺、これ置いたら灯油入れる」 あっそう、私は短く言って、仕方なくアイスピックを取りにキッチンに入って行った。 ケンちゃんはトントンと規則正しい音を立てて上がっていったのが聞こえた。 ケンちゃんは私の家なのに、本当に自分の家のように振る舞う。 別に、それが悪いわけじゃないんだけど、一体全体ここは誰の家なの? って思うことが多々あった。
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