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綾崎がちょっと怒りながら言った。
何でそんな噂が出てるかなぁ。
多分、ボクの仲間内の誰かが面白がって話してたんだろう。
そもそもボクは何故か学年でも派手なグループに属してた。
別に自分自身の性格が派手だとは思ってない。
行動を共にしてる仲間がそうなんだ。
「……なんだよ、その噂」
ボクは森川本人とはまだ全くといっていいほど接触できてない。
マジメな彼女の事だ。そんな事最初に聞いたら、絶対引くに決まってる。
最初の一歩も踏み出せないまま、無残に想いが散るっていうのだけは避けたかった。
その噂はボクにとって迷惑極まりない。
「稜二から聞いたんだけど」
綾崎がボクをちょっと睨んで言った。
「それ、適当過ぎだよ」
ボクは一応否定しといた。
ホントは森川さんのこと好きだけど。気になって仕方がなかったけど。
稜二のヤツ、いつかシめてやる。
「ふうん……そうだよね。結構、稜二っていい加減だもんね。
……だって海都と森川なんて、全然似合わないし」
綾崎はそこで機嫌が直ったみたいな表情をした。
そこを見計らってボクは綾崎に言った。
「とりあえず、今ボク誰とも付き合うつもりないから」
「ふぅん……」
ボクは断ってるつもりなのに、綾崎はまた媚びるオーラを出し始めた。
「…あたし、海都の事、すっごく気に入ってるし、…暫く諦めないから」
そういって、魅力的に見える笑顔を残して去っていった。
参ったなぁ、ああいうの。
どうして顔の可愛い女の子っていうのは、自分が拒絶される事を認められないんだろう。
それにしても、ボクと森川さんってやっぱ似合わないのか。
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