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綺麗な顔した男の子だなって、それが杉下くんの第一印象。
「おはよう」って杉下くんから言われるとき、何故かちょっとドキドキしてしまう。
こんな風に私に朝から愛想よくしてくる男の子なんて、他にはいない。
だから私の中での杉下くんの好感度は高かった。
「杉下くんってさ、超カッコよくない?可愛いっていうか」
駅へ向かう道、歩きながらクラスメートの千草が言う。
「うん……綺麗な人だよね」
私たちはお互いに彼氏がいなかった。
ただジャニーズ系が好きでテレビのネタで盛り上ったりするぐらいで、実際に男のコと触れ合う事なんて全然なくって、会話は可愛らしいものだと思う。
「あんな子が彼氏だったら、いいよねぇ…」
うっとりして千草が言った。
そりゃぁ、彼氏だったらいいとは思うけど。
「でも、杉下くんモテるし、彼女になったら苦労するよきっと…
それに……なんか杉下くんの集団って別世界って感じがしない?」
私は言った。
杉下くん本人はそうでなくても、彼の周りにいる人たちはちょっと怖かった。
絶対、私との共通点なんて無いと思う。
「ねぇ、雛乃、本屋さん寄って行ってもいい?」
「うん、いいよ」
千草と書店に寄って、そしてすぐに帰る。
お茶して帰る日も時々あったけど、大体は私は真っ直ぐ家に帰っていた。
「ただいま、ロッズ」
飼っている黒いチワワが足元にまとわりついてくる。
私はロッズを抱き上げて、台所にいる母にも声をかけた。
チワワをリビングのソファーの上に乗せると、私は自分の部屋へ向かう。
眼鏡を外して、カバンを置く。
1日中かけっ放しのせいで、鼻の付け根がちょっと痛い。
制服を脱いで、シャワーを浴びる。
やっと開放されたって感じ。
夕飯を食べて少しテレビを見て、
勉強をした後にちょっとだけゲームをして、そして眠る。
こんな風に毎日が過ぎてく。
単調すぎる日々だったけど、私にとってはゆっくりしてて居心地がよくて、それなりに満足していた。
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