現実

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「その写真の女性がしているネックレスは僕がひかりちゃんに贈ったものなんです。限定物で世界に五十本しかないので、ひかりちゃんに似た女性がたまたまそのネックレスを持っているとは考えにくいんです」 「でも……」 「ごめんなさい!」  ひなた姉ちゃんが、突然叫んだ。 「その写真は……きっと私です」  ひなた姉ちゃんはそう言って、自分の顔を棺に打ち付けだした「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」何度も何度も。  僕は頭が真っ白になった。  きっとみんなもそうで。  茫然としていた僕たちはしばらくひなた姉ちゃんのことを止める事ができなくて、お姉ちゃんの顔は血で真っ赤に染まり、誰なのかわからないくらいグチャグチャになってしまった。
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