第三章 爆弾同窓会

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* 再会  教室前方の扉が静かに開いた。  濃いグレーのスリッパを履いた足が入り口近くで止まり、しばらくその場にとどまった後、中に入っていく。黒板の前を横切り、窓辺に向かう。  白く細い手が窓の鍵を下ろす。がらがらと窓がスライドし、秋の透き通った冷たい空気が教室の中に流れ込んできた。  校舎の三階からは校庭を見下ろせた。  乾いた土のグラウンドには、石灰で描いた白線の痕がかすかに残っている。サッカーゴールが向かい合わせに置かれ、隅には移動式のバスケットゴールが並んでいた。  葉の落ちた桜の木が白い校庭を取り囲んでいる。  学校自体が高台にあるので、視界は遠くまで開けていた。とこどころビルの混じった住宅街の屋根が、遠く横浜の方まで続いている。  窓から首を出して真下を見ると、遠くにコンクリートの地上と花壇が見えた。  週末の土曜日、校舎前の駐車スペースに、車は一台も停まっていない。
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