第三章 爆弾同窓会

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「前とはちょっと見える景色が違うだろ」  背後から声をかけられ、窓辺から外を見ていた少女――永田かえでは振り返った。  背の高い少年が、教室の入り口に立っていた。  フード付きの紺のダウンジャケットを着て、開いた胸元からは、白い薄手のニットがのぞいていた。細めのベージュのチノパンが長い足を包んでいる。 「土井くん?」  元一年三組のクラスメイト、土井義彦が立っていた。軽くワックスでスタイリングされた清潔感あるショートヘアは、坊主頭の中学生時代と印象を異にしていた。 「永田さん、久しぶり」  チノパンのポケットに左手の親指だけを入れ、少年が右手を挙げた。 「なんか……印象が変わっちゃって……」  歩み寄ってきたかえでが、まじまじと顔を覗き込む。
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