第三章 爆弾同窓会

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 義彦が照れくさそうにはにかんだ。 「あのときは坊主だったからね」  彼の所属する野球部では、一年は坊主頭にしなくてはならなかった。  元の顔立ちが悪くなく、運動神経も抜群だったので、クラスの女子の間では、サッカー部の牧村陽介と人気を二分していた記憶がある。 「永田さんと会うのは三年ぶりかな」 「もうそんなになるのね」  あの事件で目に大けがを負ったかえでは、三ヶ月近く入院し、その後、専門的な治療が受けられる病院の近くに家族で引っ越しをした。一年三組の生徒とは、事件以来ほとんど会っていない。 「永田さんも、なんか大人っぽくなったよ」  スレンダーな肢体をベージュのコートで包み、ウエストをベルトで引き絞っている。胸元を飾る白いマフラーとワインレッドの手袋が、見る者に大人びた印象と与える。
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