819人が本棚に入れています
本棚に追加
話す二人の背後で、教室のドアが開く音がした。
「永田さん? 土井くん?」
小柄な少女が息を弾ませていた。
シックな装いの永田かえでとは対照的に、デニムのジャケットに白いニット、黒いフレアスカートと足下のスニーカー、いかにも元気いっぱいの女子高生といった装いだ。
「うっわー、すごい久しぶり」
大きな目をくりくりさせて近づいてくる。ブラウンの肩上ふんわりボブが揺れる。
「土井くん、また背が高くなったんじゃない?」
隣に並んで少年の頭を見上げ、お互いの身長を較べ合う。
朝倉日菜は、かえでや拓己とは反対の窓際、教室後方のおしゃべりグループに属していた。
不良娘というより、先生の目を盗んで要領よく遊んでいるイメージ。中学のとき、すでに他校の彼氏がいると聞いた覚えがある。
最初のコメントを投稿しよう!