第三章 爆弾同窓会

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 再び教室の扉が開く音がした。  入り口に小太りの少年が立っている。ワックス感のない髪の毛、フグを思わせる膨らんだ顔に、黒縁の四角い眼鏡をかけている。全体的に不機嫌そうな空気を漂わしている。  服装は、チェックのシャツにだぼっとしたデニムジーンズ。足下は白系のスポーツシューズ。地味なグレーのジャンパーをひっかけ、肩から革のショルダーバッグをさげている。  少年――森川航平は、教室にいる顔ぶれを見渡して言った。 「……新堂は来てないのか?」  黒板の上の壁掛け時計にぶすっとした顔を向ける。  時計はちょうど十三時を指していた。 「森川も新堂くんに誘われたの?」  日菜に訊かれ、少年はジャンパーのポケットから白い封筒を取り出した。 「あいつがしつこいからさ。家に何度も手紙を送られて、親からもあれこれ詮索されてさ……もう止めさせたいから来たんだよ」
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