第三章 爆弾同窓会

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 みな顔を見合わせる。誰も電話番号を知らないようだ。かえでも知らなかった。あの事件以来、一年三組の生徒たちとは積極的な交流を控えていた。 「マジかよ。みんな知らねえのかよ……」  航平がぼやいたとき、また教室の扉が開いた。  今度こそ新堂拓己かと思ったら、違った。  ひょろっとした身体つきの茶髪の少女が立っていた。  ボーイッシュなカーキー色のファー付きモッズコートを着て、グレーのキャップから肩まで髪の毛が伸びている。ゆるめのユーズドのデニムジーンズが足を包んでいる。  四人の視線がいっせいに集まり、山口水絵が、お、という感じに鼻白む。 「あ、ども……」  上目遣いに探るような目つきで小さく頭を下げる。 「ひさしぶりー。山ちゃん、元気でやってた?」  比較的、交流があった日菜が近寄っていく。
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