第三章 爆弾同窓会

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 騒然とする中、あのー、と水絵が遠慮がちに割って入る。 「新堂がまだ来てないなら、外にタバコ吸ってきていいっすか?」 「いや、タバコはまずいでしょ、タバコは」  朝倉日菜があきれ顔をする。 「え? 禁煙っすか? ここ?」  早くもコートのポケットからタバコとライターを取り出そうとしていた手が止まる。 「いや、そういう問題じゃなくてさ……中学校だからね、ここ」 「あ、自分、灰皿持ってるんで」  会話が成り立たず、日菜が頭を抱える。  そんなやり取りが続いていると、教室の入り口に人の気配がした。 「うっわー、マジ。みんな、チョーなつかしー」  だぼっとしたデニムを腰下ではき、キャップを後ろ前に被った少年が立っていた。手首がすっぽり隠れる黒いロングのシャツに、カーキー色のジャンパーを着ている。  男子のお調子者の中江慎一だった。
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