第三章 爆弾同窓会

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「後ろ姿だといい女に見えたんだよ」 「それ、どういうことよ!」  がたんと椅子を揺らして立ち上がる日菜に、 「まーまー、気にすんなヨ」  軽いノリで返す慎一。何か口にするたびに、大げさに両腕を広げたり、交差させる。口調といい、ファッションといい、ラッパーでも目指しているのだろうか。 「これで新堂を合わせれば全員か……」  土田義彦がつぶやいた。  あの少年が来れば、城岩中学爆破事件の生存者七人が、事件以来、初めて全員そろうことになる。  かえでは時計を見上げた。約束の十三時を十分過ぎていた。彼女の記憶の中では、新堂拓己には遅刻するイメージがなかった。時計がなくても、時間通りに現れる気がする。 「え? 新堂、まだ来てないの?」  中江慎一が意外そうに言った。 「おっかしーな。俺、早く着き過ぎちゃって、駅前のマックの二階から、みんなが通り過ぎるのを見てたんだよ。新堂はいちばん早く来てたぜ」
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