第三章 爆弾同窓会

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 かえでが新堂拓己に会うのはあの事故以来、初めてだ。今年の三月まで同じ中学に通っていた他の五人よりもブランクがあった。 「なんとかやってるよ」  かえでの目が少年の左腕に引き寄せられる。 「腕……馴れた?」  少年は軽く笑むと、ダッフルコートを脱ぎ、手近の椅子の背に引っかけた。肩を揺すり、左腕の袖をまくる。シャツのボタンを外し、左の手首をつかむと、ずぼっと義手を引き抜き、机の上に置く。 「永田さんは? 目は大丈夫?」  かえでは前髪を大きくかき上げた。まるでコンタクトレンズを外すように指で左目の瞼を押し広げる。  ごろんと外れた左の眼球をハンカチで受け止め、ニコッと微笑んで、義眼を拓己の義手の横に並べた。
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